歯医者の転院は”事前準備”が肝心!歯医者さんが教えてほしい「3つのこと」 その①
2022/04/28
治療中に歯医者を転院するのって実際どうなの?
今日は、「歯医者の転院」についてお伺いしました。
インタビュアー:小安先生、今日は、「歯医者の転院」についてお伺いさせてください。
早速ですが、歯の治療中に患者さんが転院することは多いことなのでしょうか。先生のクリニックでは、他の歯科医院で治療途中の患者さんが受診することはありますか?
小安先生:そうですね、結構ありますよ。通っていたクリニックの先生が高齢になったことがきっかけで、転院ができる歯科医院を探しているというケースが多いですね。
インタビュアー:なるほど、そういうケースがあるんですね。先生は、患者さんが治療途中だった場合に、困ることってありますか?
小安先生:「前の先生がどういう意図でその治療をしたのか?」という情報がないときです。前の歯科医院では治療計画があり「なぜこの治療をしているのか」という背景が必ずあります。しかし、その事前情報が全くないと困ることがありますね。
例えばオムライスを作るとして、「どこまで作りかけになっているのか」で考えてみると、なにも情報がなければオムライスを仕上げることができませんよね。
インタビュアー:なるほど!とても分かりやすいです。
小安先生:治療はレシピと似ています。治療途中で受診する場合は、紹介状があるだけでもかなり助かります。
インタビュアー:やはり紹介状があった方がいいんですね。でも、自分が診てもらっている歯医者さんに「他のところで診てもらいたいので紹介状下さい」ってちょっと言いにくいですよね。(笑)
小安先生:確かにそれはありますね。(笑)
もちろん嫌な気持ちをする先生もいるでしょう。でも、言った方がお互いのためになることもあります。先生にとっても、患者さんは「何を不便と感じていたのか」が明確になることで、技術の向上や今後の対策につながるのではないでしょうか。
また、一番大事なのは患者さんの「その歯を自分がどうしたいのか」という意志です。とにかく抜きたくないのか、ブリッジやインプラントなどの人工物に置き換えて、歯を延命したいのか、延命したいときは何年残したいのかなど。
抜きたくない人がインプラントを勧められたら、その先生とは明らかにミスマッチですよね。その場合、保存を専門とする保存科の先生に見てもらう必要があるでしょう。
インタビュアー:「患者さんがどうしたいか」が一番重要なんですね。では、患者さんが「自分の歯をどうするか」で迷われるときは、どのようなケースがありますか?
小安先生:「保険診療でするのか」、「自由診療も取り入れていいのか」という治療方法を選択するときですね。見た目の改善であれば、保険診療でも問題ないことがほとんどです。ただ、「耐久性」を考えて、費用は高いけどジルコニアなどの自由診療で扱う材料にしたいという方もいます。費用面、耐久性・審美性、この3点が判断のポイントです。
治療の選択を洋服に置き換えて考えてみると、保険診療は量販店で売っている洋服で、自由診療はその名の通り自由にカスタマイズできるオーダーメイド商品を扱う高級ブランド店です。
インタビュアー:分かりやすいたとえをありがとうございます。そういう悩みもあって転院することもあるんですね。小安先生は、セカンドオピニオンすることについてどう思われますか?
小安先生:それは全然いいことだと思います。
インタビュアー:セカンドオピニオンで来院する患者さんはどんな方ですか?
小安先生:最近は他のクリニックで「インプラントしたけどうまく噛めない」と悩まれている方が多く来られます。前のクリニックとトラブルになり、「証拠提出したい」と言われた場合、自分の意見を伝えてから画像診断の結果などをお渡しする事もあります。
一度手を付けてしまったらなかなか修正が効かないこともあるので、セカンドオピニオンのベストなタイミングは「治療を受ける前」ですね。
次回は後編をお伝えします。